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アカゲザルの冬限定メニュー
 └─井の頭 2011/10/28

 朝晩が冷え込むようになってきました。寒い冬がもうすぐやってきます。食欲の秋というように、井の頭自然文化園サル山のアカゲサルたちも9月くらいから段々と食欲が増してきました。

 さて、ここでみなさんに今日のサル山のメニューをご紹介しましょう。牧草、サツマイモ、ニンジン、リンゴ、オレンジ、バナナ、煮干し、押し麦、サル用ペレット(固形の餌)と野菜や果物がいっぱいです。

 でもじつはこのメニュー、一年中同じなのです。なんだかいつも同じものばかりで飽きてしまいそうですね。ところが、この「いつも同じ」というのがミソなのです。動物園の餌に使う野菜や果物などは八百屋さんから、魚や肉もそれぞれの業者さんから買っており、私たち人間が家で食べているものと同じものを動物たちも食べています。動物の餌だからといって、時間がたって悪くなったものや、傷んだものなどは与えていません。一年中手に入りやすい新鮮な野菜や果物、魚、肉を餌とすることが重要なのです。

 井の頭自然文化園のアカゲザルの餌は、先ほどの餌以外にも季節によって変化する限定メニューがあります。
 たとえば、植物の芽吹く春先には園内で美味しそうな木の枝を切ってきて与えます。暑い夏には、ずっと外のサル山でくらしているサルたちが真夏の日差しでバテないよう、体を冷やす効果があると昔から言われている夏野菜のトマト、キュウリ、ナスやフルーツ入りの氷などを与えました。
 そして10月からは、カボチャ、ゴボウ、ネギが季節限定のメニューとして加わりました。寒い冬を風邪をひかずに乗り切ってもらいたいと思い、考えたメニューです。

 また最近、新たな食材が手に入りました。ご近所の「三鷹の森ジブリ美術館」から麦をいただいたのです。いつも給餌しているのは押し麦といって、殻のついていない平べったいものですが、いただいた麦は殻付きのものです。この麦はとても小さい粒なので、サルたちにとっては、一粒一粒拾って食べるのが一苦労のようです。サルたちが下をむいて何かを一生懸命食べている姿を見たら、それはジブリ美術館からいただいた麦です。よく耳をすましてみるとポリポリと良い音も聞こえるかもしれません。44頭もいますから、それぞれ食べ方にも違いがあるので観察してみると面白いと思います。

写真上:麦を食べるアカゲザル
写真下:カボチャを食べるアカゲザル

〔井の頭自然文化園飼育展示係 齋藤美和〕

(2011年10月28日)



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