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福島から来たユーラシアカワウソ
 └─上野  2011/06/03

 2011年3月11日に発生した東日本大震災により施設に被害を受けた、ふくしま海洋科学館アアクアマリンふくしま(福島県いわき市)の飼育動物の一部を、日本動物園水族館協会に加盟する複数の園館が緊急保護として受け入れました。

 上野動物園では3月17日と25日に、ユーラシアカワウソのドナウ(オス、3歳)チロル(メス、2歳)の2頭を受け入れました。

 この2頭の展示場所は東園にある元々ユーラシアカワウソを展示していたところで、増設されたアクリル水槽を泳ぎ、来園者の間近で餌を食べる姿を見ることができて人気がありました。

 最近はニホンアナグマ、ハクビシン、ユーラシアカワウソの3種を混合展示していましたが、ドナウとチロルを展示するため、上記の3種はそれぞれ前にいた場所に移動しました。

 アクアマリンふくしまでは2頭一緒に飼育されていたのですが、上野動物園での検疫中は別々に飼育し、再同居は広いスペースがあるカワウソ舎でおこないました。同居にあたり、ユーラシアカワウソはテリトリー内に約50か所もの巣穴をもつといわれているので、巣箱はそれぞれが好きなものを選び、争わないですむよう多く設置しました。

 同居はまずチロルをカワウソ舎に入れ、落ち着いたところでドナウを入れたのですが、2頭でじゃれあったり一緒に泳いだり、とくにトラブルもなくできました。

 しばらく飼育係を警戒しているようでしたが、最近では担当者の手から餌を取って食べたり、来園者に近づいたりする姿も見られるようになりました。手渡しの餌やりは、今後アクリル水槽内でおこなう予定の給餌の練習です。

 東日本大震災の被災地は深刻な状態ですが、ドナウとチロルの元気な姿が応援メッセージになるよう、飼育展示に力を注いでいます。

写真上:麻袋にくるまれたドナウ(オス)
写真下:餌をくわえるチロル(メス)

〔上野動物園東園飼育展示係 野島大貴〕

(2011年06月03日)



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