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渚で見つけた「ウミゾウメン」
 └─葛西  2011/05/27

 葛西臨海水族園「渚の生物」水槽では、浅瀬の岩場に色鮮やかな黄色い物体が現れました。それは細長いひもがからまり合ったような形をしていて、まるで海に置き去りにされたラーメンのめんのようです。これは一体何でしょうか?

 じつは、この正体はアメフラシの卵のかたまりです。私にはラーメンのめんのように見えましたが、一般的には「ウミゾウメン」という名前で呼ばれています。岩や海藻などの表面に産み付けられ、ひものようなものの中には直径0.1ミリメートルほどの小さな卵がたくさん詰まっています。産み出されたばかりのころは鮮やかな黄色をしていますが、卵の発生が進むにつれてだんだん暗い橙色へと変化していきます。

 ウミゾウメンの親であるアメフラシは、日本全国の海岸の岩場などに生息しています。黒色の体に白色の細かいまだらもようがあり、体全体は柔らかくできています。外見からは貝殻を見ることができませんが、巻貝のなかまです。その証拠に、背中側に楕円形の薄い殻をもっています。アメフラシのなかには体長が最大40センチメートルにもなるものもいます。またアメフラシは、刺激を受けると体から紫色の液を吹き出して身を守ります。

 この風変わりな形をした卵と、ユニークな姿にゆっくりな動きのアメフラシを、「渚の生物」水槽でじっくり観察してみてはいかがでしょうか。

写真上:ウミゾウメン
写真下:アメフラシ

〔葛西臨海水族園飼育展示係 三浦絵美〕

(2011年05月27日)



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