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ムササビの展示を始めました
 └─井の頭 2011/02/18

 井の頭自然文化園では2010年12月からムササビの展示を始めました。ムササビは、オスの「ブンタ」とメスの「タユウ」の2頭です。2頭は昨年8月12日にやってきました。生後わずか1週間ほどで、カラスに襲われているところを保護されたのです。

 ムササビはリスのなかまで、本州・四国・九州の平地から山地にかけて広く生息しています。木の上で生活しており、木から木へ滑空して移動するので、その点で同じリスのなかまであるモモンガとよく混同されます。

 ムササビとモモンガの大きな違いは体の大きさで、モモンガが体重約100グラムなのに対し、ムササビは約1キログラムあります。ムササビのほうがだいぶ大きいので、モモンガのイメージでムササビをみると驚かれるかもしれません。

 保護されたときは衰弱しているようだったので、すぐ病院に運んで人工保育を始めました。私たちの心配をよそに、毎日ミルクをよく飲み、順調に成長していきました。

 1か月を過ぎたころ、ミルクにバナナやリンゴの搾り汁を混ぜた離乳食を与え始め、数日後には煮イモなど固形物も食べられるようになりました。離乳が進めば、屋外のケージぐらしに慣らしていかなければなりません。そこで屋外と屋内のケージを自由に行き来できる部屋へ移しました。

 またこのころ、展示に向けて準備にとりかかりました。ムササビは夜行性で、日中は巣穴で過ごしているため、巣箱を取り付けただけではムササビの姿を開園中に見ることはできません。そこで、巣箱の一部にアクリル板を張り、中をのぞけるようにくふうしました。巣箱は自然の木をくり抜いて作り、樹上のうろで過ごす野生のムササビのくらしを再現するようにしました。

 こうして2010年12月13日、新しい展示場へ2頭を放しました。2頭はすぐ巣箱に気づいて中に入ったり、部屋中くまなく歩き回ったりして部屋の構造を満足いくまで見回っていました。

 2頭とも巣箱をすっかり気に入ったようで、夜行性動物らしく日中は中で過ごしています。いつも寝ているわけではなく、時おり起きては毛づくろいをしていることもありますので、驚かさないようそっとのぞいてみてください。

写真上:保護してから19日目のムササビ
写真下:順調に成長した2頭

〔井の頭自然文化園飼育展示係 古川紗織〕

(2011年02月18日)



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