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両生爬虫類館、復活「針の森」
 └─上野  2010/09/24

 上野動物園の両生爬虫類館温室の中ほどに突然、右脇にバオバブの擬木を従えた背の高い展示施設が出現します。左脇後方には、本物のバオバブや、これもマダガスカルを象徴する植物であるアルアウディアのなかまが植えられています。マダガスカルを意識して造られたこの展示施設を手直しし、マダガスカルに生息するホウシャガメとハグルマブキオトカゲの展示を始めました。

 マダガスカル島では、地形、気候、さらに地質の違いなどから、5つの植生帯が発達しています。

 南西部から南部は降水量の少ない乾燥した気候で、乾燥地や半砂漠が広がっています。この地域の植生帯は「乾性有刺林」と呼ばれ、刺(とげ)のある多肉質の植物が多く、固有種の多いマダガスカル島の中でも、もっとも固有率の高い地域として知られています。ホウシャガメもブキオトカゲもこの乾性有刺林(針の森)に生息するマダガスカルの固有種です。

 この展示に見覚えのある方もいらっしゃるのではないでしょうか。じつは、2009年の特設展「マダガスカル──ゴンドワナの落としもの」で展示した「針の森」を常設展示として再現したのです。特設展と同様、「針の森」で見られる植物のうち2種も展示していますので、カメやトカゲとあわせてごらんください。

写真上:ホウシャガメ
写真下:ハグルマブキオトカゲ

〔上野動物園は虫類館飼育展示係 木村隆司〕

(2010年09月24日)



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