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カリフォルニアアシカの「カコ」が出産
 └─上野  2010/06/11

 上野動物園では3頭(オス1、メス2)のカリフォルニアアシカを飼育しており、ここ数年順調に出産をしています。2010年も例年同様6月に出産をしました。今回出産したのは「カコ」(1994年生まれ)で、7産目のベテランママです(昨年の出産のニュースはこちらをごらんください)。

 アシカたちは今まで東園のアシカ池で生活し、出産もしていましたが、東園に新施設を建設するため、4月中旬から西園のカバ舎で間借り生活をしています。そのため、今までとはまったく異なる環境での出産となりました。

 なによりもアシカたちを早くカバ舎の環境に慣れさせるために、日々の作業にはあまり変化をつけないようにしました。それでも、新環境にはなかなか慣れず、1日のほとんどを水中で過ごすということが続きました。
 しかし3頭の中で一番早く慣れ始めたのはカコでした。室内外の移動や陸地での休息など、カコが先頭を切って動き、その後にジョン(オス)とチャッピー(メス)が続くといった感じです。
 出産に対しては、隠れられるように柵を設置し、キーパー通路に板を取り付け、水位を高くするなどの準備をしていました。

 さて、カコの行動に変化が出てきたのは5月28日です。プール内を盛んに泳ぐのですが、前日までよく食べていたアジを食べなくなったのです。今までの記録から、出産前には食欲がなくなり、日中も陸地で過ごす傾向があるということは分かっていましたので、まもなくかな?と期待していたところ、その2日後の5月30日の夕方、陸地で力む行動が見られました。

 そして6月1日、日中はさほど大きな変化は見られなかったのですが、夕方室内へ入ったカコのようすが変わりました。他の2頭を威嚇して寄せ付けず、陰部を気にしながらソワソワしだしたのです。その場で円を描くようにくるくる回りながら、力み、鳴くという行動が続き、午後4時24分陰部から子どもの後肢が見え始めました。カコ自ら子どもの後肢をくわえ、引っ張り出そうとする行動も見られました。

 そして、午後5時12分に全身が現れました。カコは、子の体を包んでいた羊膜を吸い取り、子もすぐに産声をあげました。

 開園時間中に出産兆候が現れたので、その場をごらんになった方もいらっしゃいましたが、途中で閉園時間となったため心配されていると思います。
 ご安心ください、無事出産しました! 元気です!
 もうしばらくしたら性別を確認し、名前を決める予定です。これからの成長をあたたかく見守ってください。

写真上:初めて外に出た日
写真下:授乳中

〔上野動物園西園飼育展示係 齋藤圭史〕

(2010年06月11日)



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