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石垣島のオオシママドボタルを展示中
 └─多摩  2009/12/24

 2009年11月11日から13日、副園長の福田豊と昆虫園飼育展示係の三枝博幸が、沖縄県石垣島に昆虫の調査と採集に出かけました。発光するホタルの一種である「オオシママドボタル」も採集し、2009年11月18日から昆虫園で成虫と老齢幼虫の展示を始めました。照明を調節して昼夜を逆転させた夜行性昆虫コーナーでは、日中でも発光するようすを見ることができます。

 ゲンジボタルやヘイケボタルの幼虫の生息場所は水中ですが、オオシママドボタルの幼虫は陸上でくらしています。しかも、日中は周囲に家屋や街灯のない暗い場所を選び、森や草むらの地面の上にたまった落ち葉の下に隠れています。

 日中は、そうした隠れやすい場所ですごしますが、夜になると活動を始めます。発光しながら林道や山道を「のそのそ」と移動していることもありますし、草や木の幹にのぼっていることもあります。そして、餌となるウスカワマイマイ(小型のカタツムリ)を見つけると、頭を中につっこんで捕食します。

 こうしたオオシママドボタル幼虫の夜の行動や発光のようすをお見せするため、昆虫園では照明で昼夜を逆転させているのです。

 12月上旬、困ったことが起きました。幼虫が羽化してメスの成虫が現われたにもかかわらず、沖縄から採集してきたオス成虫がすべて死亡してしまい、交尾ができず、次世代が得られないままになりそうだったのです。ところが、12月20日、待望のオスが羽化。12月23日には、ミズゴケの表面に約50卵が産みつけられていました。産卵はまだ続く気配です。

 幼虫が現われるのはしばらく先のことですが、孵化した幼虫を使って展示を続ける予定です。

写真上:オオシママドボタル成虫(メス)
写真下:オオシママドボタル成虫(オス)

〔多摩動物公園昆虫園飼育展示係 杉田務〕

(2009年12月25日)



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