2009年11月2日の午前11時ごろ、オジロワシのメス1羽を、上野動物園内の不忍池にある「柳島」に放しました。このオジロワシは、飛べないために北海道の知床博物館が保護していた個体です。上野動物園で受け入れ、検疫後、柳島に放しました。当日測定した体重は4.5キログラムでした。
柳島は弁天橋に近い島です。橋から島まで、水の中に管理通路が作られています。ネコなどは渡れませんが、人間は長靴をはいたまま渡っていけるようになっています。
オジロワシを島に放して数十分後の午前11時50分ごろ、カラスたちが興味津々なようすで40~50羽も集まって来て、オジロワシをとり囲みました。カラスはオジロワシにいきなり近づくことはせず、小石や土の塊をつついて遊んでいるふりをしながら近づき、ちょっかいを出してきます。
午後になるとカラスは20羽ぐらいになりましたが、依然として島を占拠しています。そこで3時半ごろ、係員が島に近づいてカラスを追い払うと、そのタイミングをとらえてオジロワシは枝をつたって高い場所へ移りました。きっと、カラスがいたので登りたくても上のほうに移れなかったのでしょう。
餌はアジや馬肉を与えていますが、最初は餌をやってもすぐに食べに来ないので、まわりのカラスやサギなどに横取りされてしまい、食べているかどうか分かりませんでした。
そこで、カラスたちが簡単に餌を持ち去れないように、サケ1尾をそのまま与えたりしました。そのうちに、オジロワシもだんだん慣れてきたのか、アジや馬肉を食べるのが確認できるようになり、私たちもほっとした次第です。
今後、たくさんいるカラスたちに対抗するためにも、仲間となるオジロワシを入れてやりたいと考えています。
〔上野動物園西園飼育展示係 夏坂松久〕
(2009年11月27日)
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