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カリフォルニアアシカが生まれました
 └─上野  2009/07/10

 2009年6月21日、上野動物園のカリフォルニアアシカに子どもが生まれました。父親はジョン、母親はチャッピーです。上野動物園のアシカ池では毎年出産が見られます。2頭のメス(カコとチャッピー)が交互に産むことが多く、いずれもすでに出産5回以上のベテランママさんです。

 アシカ池には、昨年(2008年)生まれたカコの娘カリンがいますが(ニュース)、今回の赤ちゃんの母親はカコではありませんし、カリンはもう魚をふだん食べていて、お乳をもらうことはなくなりました。そのため、今回の赤ちゃんを気にするようすは見られません。ただ、何かを感じるのか、赤ちゃんが生まれる前後は、カコの乳を吸う行動が目立つようなりました。

 アシカ池で同居しているゼニガタアザラシのメイ(メス)は、ときどき赤ちゃんのようすを見に来ます。そして、そのたびに母親チャッピーに怒られています。それでも気になるのか、メイは赤ちゃんのようすをうかがいに繰り返しやって来ます。

 父親ジョンは育児に協力しませんが、ときどき子を見に行っては、やはりチャッピーに威嚇されています。ふだんは気の弱い性格のチャッピーも、子育ての時期には気が強くなり、たのもしい一面をのぞかせます。

 チャッピーは出産5日前からえさを食べなくなり、出産後も4日間、子につきっきりで、10日近くえさを食べませんでした。子が育つにつれ、安心したのか、除々にえさを食べるようになり、子から目を離す時間も増えました。赤ちゃんも最初は弱々しく、きちんと四肢で立って歩くことができませんでしたが、徐々に活発になり、ひとりで歩いたり、階段を登り降りするようになりました。

 アシカの子は、生まれてすぐ泳げるわけではありません。顔を水につけたり、浅瀬で泳ぐ練習をしたりしながら、だんだん泳げるようになります。昨年生まれのカリンは、生後2週間で泳ぐことができるようになりました。個体によって、泳ぎ始める時期はだいぶ異なります。今年の子はいつごろ泳ぐことができるようになるでしょうか。

 母親チャッピーは、「大丈夫。泳いでみたら?」とでも語りかけるように、ときどき水の中から子を呼びます。しかし、自分の目の届かないところで子が泳いでいると不安になり、すぐ陸に連れ戻そうとします。

 今日(7月5日)、子が浅瀬で水にひたっているすがたを初めて見ることができました。7月6日には、浅瀬から浅瀬へと短い距離を泳いでわたれるようにもなりました。教育はベテランママにお任せし、私は他のアシカやアザラシとともにカリフォルニアアシカの赤ちゃんの成長を見守っています。

写真上・中 2009年7月5日撮影
写真下   2009年7月7日撮影

〔上野動物園東園飼育展示係 野田瑞穗〕

(2009年07月10日)



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