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シュモクドリ、四つ子誕生
 └─上野  2009/07/10

 2009年6月の初めに上野動物園でシュモクドリの卵がかえりました。といってもこの目で確認したわけではありません。シュモクドリの巣は大きなドーム状をしていますが、入口はシュモクドリがちょうど入れる程度の大きさしかなく、巣の中をうかがい知ることができないのです。

 手がかりとなるのは、ひなの鳴き声、そして、親鳥がえさを食べているすきにカメラを巣に入れて撮影した画像です。この撮影方法により、4羽のひなを確認することができました。

 かえったばかりのひなは、薄灰色の幼綿羽(ようめんう:ひなに特有のふわふわした羽毛)で覆われていましたが(写真上)、孵化後19日目にはシュモクドリの特徴でもある冠羽(かんう:鳥の頭部に伸びる特徴的な羽毛)がすでに生えそろっています(写真中)。シュモクドリの冠羽は後方に伸びており、頸を撞木(しゅもく=ハンマー)の柄と見立てたとき、この冠羽とくちばしが撞木の頭に見えるため、シュモクドリと呼ばれているのです。

 孵化後1か月も経つと羽毛も生えそろい、親と変わらない外見になります。巣立つのは孵化後44~50日なので、みなさんの前にひなが登場するのは7月中旬、もう間もなくです。

 上野動物園にいらっしゃったときは、シュモクドリの巣にも注目してください(写真下)。人が作ったわけではありません。シュモクドリが枝や藁を球状に組み上げ、りっぱな巣を作りあげました。重さは約33キログラムにもなります。

 鳥の巣は卵を産み育てる場所であることが多いのですが、シュモクドリの巣はねぐらとしての役割も果たしています。そのため、長持ちする頑丈な巣を作りあげるのでしょう。りっぱな巣なので、野生では猛禽類や小型哺乳類、爬虫類など、さまざまな生き物に乗っ取られることが多く、1年につき3~5個の巣を作るそうです。

写真上:孵化後5日目
写真中:孵化後19日目。冠羽が見える
写真下:シュモクドリの巣

・東京ズーネットBBの動画「シュモクドリ
 (2008年09月撮影)

〔上野動物園東園飼育展示係 永野知〕

(2009年07月10日)



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