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ヤエヤマサソリの子育て
 └─多摩  2009/07/03

 多摩動物公園昆虫園にある南西諸島の生き物コーナーでは、ヤエヤマサソリを飼育・展示しています。ヤエヤマサソリは体長約3~4センチと小さく、その名のとおり、八重山諸島や宮古諸島に生息するサソリです。

 2009年6月30日の朝、展示ケース内のサソリに目をやると、小さなサソリの背中の上にさらに小さなサソリが乗っかっていました。夜のうちに子どもを産んでいたようです。生まれたばかりのサソリの子どもたちは真っ白で、14~15匹ほどが確認できました。

 ヤエヤマサソリは単為生殖(未受精卵から個体が発生すること。オスが一切知られていなかったり、少数しかいなかったりする種類もあります)をおこない、生まれた幼体は1回目の脱皮を終えるまでは母サソリの背の上で守られながら育ち、その後は背から降りて、親と同じようにハサミと毒針で小さな昆虫などを捕らえます。

 誕生後、子サソリが親の背から独り立ちするまで1週間ほどです。背から降りると、親にえさと間違われて食べられてしまうことがあります。この大きな危険から子サソリを守るため、独り立ちのタイミングを逃さぬよう救出した後は、飼育係が子育てを引き継ぐことになりそうです。

〔多摩動物公園昆虫園飼育展示係 牧村さよ子〕

(2009年07月03日)



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