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カイツブリのひなが親鳥の背中から顔を出しました
 └─井の頭 2009/06/23

 井の頭自然文化園でカイツブリのひなが孵化しました! ひなが親の背中に乗って生活しているようすが目の前で見られます(写真上)。水生物館で飼育しているカイツブリが巣を作り、産卵したことを今年(2009年)4月にお知らせしましたが、そのときの卵は残念ながら孵化しませんでした

・ニュース「カイツブリの巣作りと産卵」(2009年04月)

 しかし、カイツブリのペアは5月18日からあらためて巣を作り、5月22日から30日にかけて6卵を産みました。そして6月13日から孵化が始まったのです。6月22日現在、4羽のひなが水槽で見られます。

 ひなは孵化後数分程度の短時間で親鳥の背中に自力でよじ登り、羽の下に潜り込みました。今のところ、親鳥の背中でほとんどの時間を過ごしているため、ひながどこにいるのかわからないかも知れません。でも、よく見るとふだんより親鳥の背中が膨らんでいます。ひなは、ときどき親鳥の背中から顔を出して外を眺めたり、食べ物をせがむように口を大きく開けて鳴いたりしています。

 親鳥はひなを背中の羽の下に入れたまま、しばしば水中に潜ってしまいます。ふだんと変わらない、すばやい動きで泳いでしまうのにはびっくりです。潜水中、こらえきれずにひなが背中から落ちてしまうこともあります。でも大丈夫。ひなは孵化直後から泳ぐことができますし(写真中)、なんと孵化したその日に短い距離を潜水することさえできるのでした(写真下)。

 最初のひなが孵ってからの数日間は、親鳥にとって初めての子育てのためか、いろいろな行動がぎこちないというよりも、何もわかっちゃいない、という感じで、見ているこちらがハラハラ、イライラしましたが、あっという間にえさの与え方なども上手になってきて、4羽目のひなの面倒を見るころには、余裕さえ感じられるようになりました。

 先に孵ったひなは一回り大きくなり、ときどき親の背中から降りて泳いだり、えさのミールワームやコオロギを次々と豪快に飲み込んだりしています。

 これほど興味深い行動がすぐ目の前で観察できるなんて、水槽ならではのことです。文献によれば、孵化後10~15日経つと、ひなは親鳥の背中よりも水の上にいることが多くなり、16~20日で親鳥の背中に入らなくなってしまうそうです。カイツブリの背中での子育てが見られるのは限られた期間です。カイツブリを飼育展示している動物園や水族館はわずかですし、目の前でこうしたようすを観察できる機会はなかなかないでしょう。それに理屈抜きに「ちょーかわいい」です。ぜひお見逃しなく!

・カイツブリを孵化する瞬間のビデオ撮影に成功!(約30秒)

  Windows Media形式  QuickTime形式

・東京ズーネットBBから過去の動画:

  動画「カイツブリ再登場
  (井の頭自然文化園の水槽展示、2005年11月撮影)

  動画「不忍池のカイツブリ
  (こちらは上野動物園内不忍池の野生カイツブリです)

〔井の頭自然文化園水生物館飼育展示係 荒井寛〕

(2009年06月23日)



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