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小獣館「小窓」展示、「体」をテーマに展示変更
 └─上野  2009/05/23

 上野動物園西園にある小獣館の1階では、家庭で熱帯魚などを飼育するときに使う「小型水槽」を用いて、小さなネズミ類や小型コウモリ類を飼育展示しています。ここを私たちは「小窓」と呼んでおり、四つの小型水槽が1組となって、3か所に配置されています。

 場所は、「ワタボウシタマリンとコモンマーモセットの間」「ミケリスとコビトマングースの間」「コモンツパイとマヌルネコの間」です。今回、この小窓の並べかえをおこないました。

 動物を展示するには、さまざまな方法があります。たとえば、「分類学的展示」と呼ばれる方法では、ネコ科動物であればライオン、ジャガー、リンクスなどをまとめ、ウシ科動物ではバッファロー、スイギュウ、オリックスなどをまとめて、分類学的に近い動物どうしを比較できるようにします。他にも「生息場所別展示」「地理学的展示」「夜行性展示」「気候区分別展示」など、さまざまなテーマにもとづいた展示手法があります。

 以前の小窓は、「日本のネズミ」や「世界のネズミ」など、生息地にもとづく配置でした。そこで今回、「体」にスポットをあてた配置がえをしました。

 小獣館に入ってすぐの小窓は「体の大きさが違うネズミ達」。ネズミ科の中でも尾の長い種類、世界最小のネズミ、体のかたちは似ているものの、微妙に大きさが違う種類(とはいえ、たしかに大きさが異なる種類)を並べました。

 そのつぎの四つの水槽は、「体の色や形に特徴のあるネズミ達」。体に縞模様があるネズミ(シマクサマウス)、放熱のためのトゲをもつネズミ(カイロトゲマウス)など、細部にそれぞれ特徴があるネズミを集めました。

 最後は「日本の小動物」です。ここは山中にすんでいるヤマコウモリや、三宅島だけに生息しているミヤケアカネズミなど、比較的身近な種類から、東京の離島にくらす種類まで、日本の小動物の世界です。

 小窓にいる小さな動物たちは、似ているようでも、それぞれの生息地で進化してきた長い歴史があります。その違いをぜひ観察してください。「体」に注目することで、動物の世界が見えてきます。

写真上:「体の色や形に特徴のあるネズミ達」
写真中:シマクサマウス
写真下:カイロトゲマウス

〔上野動物園西園飼育展示係 藤岡絋〕

・東京ズーネットBBの動画
 「シマクサマウス、子育て中」(2009年04月撮影)

(2009年05月23日)



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