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シロオビアゲハの小さな蛹
 └─多摩  2009/05/08

 多摩動物公園の昆虫生態園では、アゲハのなかまを数種飼育しています。そのひとつが「シロオビアゲハ」です。

 シロオビアゲハの幼虫はミカン科の植物で育てるのですが、今年(2009年)3月に育てた蛹の中に育ちの悪い小さな蛹できてしまいました(写真上)。

 原因はいくつか考えられます。まず、冬のミカンの葉は硬く、幼虫があまり食べません。また、古い葉は色も悪く、栄養も少なくなっています。古い葉が落ち、新しい葉が現われるのは、3月の終わりごろなのです。

 栄養が不足すると幼虫も病気になりやすいし、蛹になった後、体が黒くなり、死んでしまうものも見られます。小さな蛹からはやはり小さなチョウしか出てきません(写真下)。

 しかし、これも毎年のことでして、ミカンの葉やカラスザンショウの葉がえさとして使えるようになる5月上旬までがまんです。やわらかくて栄養のよい葉を食べ、りっぱに育った大ぶりのチョウが見られるのはその後です。

〔多摩動物公園昆虫園飼育展示係 深谷高司〕

(2009年05月08日)



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