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捕獲せよ!──ツルたちのお引っ越し
 └─多摩  2009/01/23

◎捕獲せよ!シリーズ第4弾「ツルたちのお引っ越し」

 昨年(2008年)11月、多摩動物公園のソデグロヅル舎内にある木が伸びてきたので切ることにしました。ケージの中にツルがいたままでは作業がやりづらいので、11月中旬、モウコノウマ舎の上にあるコウノトリ舎へソデグロヅルを移しました。ここには、新施設「ウォークインバードケージ」に移動予定のツルもいます。今回移動させたソデグロヅルも、その一部をウォークインバードケージに移すことになっています。そこで、ソデグロヅル舎の剪定終了後、ソデグロヅルの一部を元のケージにもどすとともに、他のツル類を含め、バードケージへの引っ越しを実施することにしました。

 2008年12月3日、タンチョウ、ソデグロヅル、マナヅル、クロヅル、アネハヅルの5種21羽の捕獲に取りかかりました。

 ところで、以前コウノトリの捕獲についてお伝えしました(ニュース「ニホンコウノトリを捕まえろ!」2008年3月14日)。

 コウノトリとツル類は、外見は似ていますが、捕獲時の注意点が微妙に異なります。コウノトリは、その最大の武器である嘴につつかれないないよう気を払わなければいけませんが、嘴を押さえてさえしまえば、おとなしくなり、あつかいやすくなります。

 しかし、ツル類は勝手が少々ちがいます。嘴か翼を押さえたら、そこで安心せず、すばやく体をかかえこみ、足による攻撃をかわさなければなりません。また、体全体をシートでくるむときも、足を折らないよう、慎重にあつかう必要があります。

 捕まえる飼育係も自分がケガをしてはいけませんが、ツルにケガをさせるわけにはいきません。注意深く作業を進め、引っ越す予定のツルをすべて捕まえ、ソデグロヅル舎とウォークインバードケージのそれぞれに移しました。

 ツルたちを移したのは、ウォークインバードケージの「西ケージ」です。ドーム型をしたこのケージは、中に人間が入って鳥たちの飛翔を観察することができます。当初、慣れない場所で鳥たちに事故がないよう、翼の「仮切り」をしていました。仮切りをすることで最初は飛べなくなるのですが、環境に慣れたころに羽根が抜けかわり、飛べるようになるというわけです。

 ところが、今回の引っ越しの際、仮切りを忘れてしまいました。急に飛び上がって事故になることも考えられるので、数日間、心配しながら見守りました。しかし、先にいたコウノトリとの小競り合いもときどき見られはしたものの、ツルたちは何ごともなかったように餌を食べ、羽づくろいをし、とても落ちついたようすを見せてくれるようになったので、一安心したのでした。

写真上 :ツル類捕獲作戦開始!
写真中上:シートにくるまれて……
写真中下:新居に到着
写真下 :引っ越し先で落ち着きました

〔多摩動物公園南園飼育展示係 土屋泉〕

◎関連動画

 ・東京ズーネットBB「巨大鳥かごウォークインバードケージ

(2009年01月23日)



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