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ハナイカを展示しました
 └─葛西  2008/12/26

 葛西臨海水族園「東京の海エリア」にある10min.ライブのトピック水槽に、ハナイカを展示しました。東京の海エリアでは、アオリイカとカミナリイカも展示していますので、イカ類としては、3種めの展示です。

 ハナイカは、伊豆半島よりも南の海に生息している。全長5センチほどの小型のコウイカのなかまです。特徴は、なんといっても色がきれいなこと。イカやタコのなかまは体の色をたくみに変えることができますが、ハナイカもとてもよく体の色を変えます。

 ふだん落ち着いているときは、周囲の砂地や岩に似せ、地味で目立たない色をしていますが、餌を食べるときや驚いたときなどは、黄色や赤い模様が加わり、ハナイカ独特のきれいな模様になります。

 この派手な色や模様は、私たちが水槽で見るかぎり、あまりに目立つため、餌をとるときや敵から逃げるときなど、およそ役に立ちそうに思えませんが、きれいな色の生物の中には、わざと目立つことによって、自分が毒をもっていることを相手に知らせたり、敵を驚かせたりするために使っていることがあります。

 また、自然の海には、海藻やサンゴ、カイメンなど、カラフルな生物が意外にたくさんいます。ハナイカを観察していると、なかまどうしのケンカや危険が近づいたときに色を変化させているので、相手に対しての何らかのコミュニケーションの道具として利用していると思われます。つまり、きれいな色や模様は、生物にとってとても意味のあるものなのです。

 水槽内では餌として小さなエビなどを与えています。餌をとるときは、よく色を変えて餌に近づき、2本の触腕をカメレオンの舌のよう伸ばして餌を捕まえます。餌に近づくときは抜き足差し足、あたかも人間が歩いているかのように腕を動かしながらゆっくり前進します。そのすがたは、とてもユーモラス。10min.ライブのコーナーで、ウミホタルの発光実験とともにぜひごらんください。

〔葛西臨海水族園飼育展示係 中村浩司〕

(2008年12月26日)



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