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水槽でふえました! トビハゼの稚魚展示
 └─葛西  2008/09/19

 下記ニュースでお伝えしたように、2008年6月中旬から、葛西臨海水族園のトビハゼは繁殖期をむかえ、無事にたくさんの仔魚が孵化しました(写真上)。

・ニュース「トビハゼ繁殖期始まる」(2008年6月27日)

 仔魚の体長は 2.8ミリ、親のトビハゼとはかたちが異なり、半透明の体をしており、水の中を漂いながら小さなプランクトンを食べて生活します。

 その後は病気が出ないように育成水槽内の掃除や水を交換したり、ワムシやブラインシュリンプなどの餌をあたえたりすること1か月。体に色がつきはじめ、体長も1センチほどに成長し、体型もハゼらしく変わっていきます(写真中)。そしてトビハゼの場合、陸上で生活しやすいようにもう一度体が変化していくのです。

 すぐに陸上にあがれるようになるのか不安だったので、水と陸の両方の環境を作った水槽に子どもたちを移動させ、スロープを用意して、「自分のペース」で上陸してもらうことにしました。

 観察を続けたところ、やはり砂の中に潜ったり、水ぎわに来て水から出たり入ったりして、少しずつ体を慣らしているかのようにも見えました(写真下)。その後は少しずつ水から出る時間が増えていき、陸上の餌も食べるようになりました。トビハゼの子どもにとって、こうした水と陸の接点のような場所がとても重要なのでしょう。

 こうしたいくつかの苦労(?)を乗り越えて、2008年9月10日から、トビハゼの稚魚50匹の展示を始めました。場所は、親のトビハゼを展示している「東京の海」泥干潟水槽の2階通路部分です。まだ体長2~3センチの大きさですが、すでに親と同じような体つきになり、陸上の餌を食べ、胸鰭を使って歩くようすも観察できます。

 日本にはたくさんの水族館がありますが、トビハゼの水槽内繁殖に成功しているのは葛西臨海水族園だけです。秋の行楽がてら、小さなトビハゼたちを見にきていただけたらと思います。

〔葛西臨海水族園飼育展示係 橋本浩史〕

(2008年09月19日)



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