催し物
水生物館特設展示「いもり学 にゅうもん」開催中
 └─2011/08/12

 あなたはイモリを見たことがありますか? イモリは日本各地に広く分布し、平野から山地にかけて、田んぼや水路、池などのいろいろな水辺にすんでいます。かつてはごく普通に見られた身近な生き物でしたが、近年イモリがすめるような水辺が減ってしまい、とくに関東地方の平野部では壊滅的に減少したと考えられています。

 イモリは、カエルと同じ両生類のなかまで、一生のうちに水中と陸上の両方の環境で生活をします。卵は水中の水草などに産みつけられ、孵化した幼生はしばらく水中ですごします。やがて変態して陸に上がり、3年ほど草地や林などの陸上でくらしますが、陸でくらすイモリを見つけることは難しく、詳しいことはよくわかっていません。成体となったイモリは、再び水中を中心とした生活となり、4~7月に繁殖行動をおこないます。私たちがイモリを見るのは、たいてい水中にいる成体なので、陸上でもくらすというのは意外と思われるかもしれません。ちなみに、家の壁などでときどき見られるのは、爬虫類のなかまのヤモリです。姿や名前が似ていることから混同されることもあるようです。

 井の頭自然文化園水生物館では、2011年7月2日(土)から10月16日(日)まで、特設展示「いもり学 にゅうもん」を開催しています。
 特設展示では、イモリが水中だけでなく陸上でもくらすようすや、イモリの特徴である赤いお腹が見やすいように水槽の下に鏡を置いて、いろいろな角度からイモリを観察できるようにしました。また、イモリとよく似たヤモリを展示し、その違いを見比べることもできます。
 特設展示の入り口でまず目に入るのは、壁一面を使った大きなパネルです。このパネルでは、イモリの生活史や、井の頭自然文化園が葛西臨海水族園、多摩動物公園とともに取り組んでいる東京産イモリの保全活動について、分りやすく紹介しています。この機会にぜひいもり学を学んでください。

写真上:イモリの幼生
写真中:イモリのお腹が見える水槽
写真下:特設展示場風景

〔井の頭自然文化園水生物館飼育展示係 児玉雅章〕

(2011年08月12日)



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