◎講演会「ニホンカワウソ」
明治時代まで日本各地の水辺に生息し、ふつうに見られたニホンカワウソ。しかし、大正以降に急激に減少し、昭和30年代には多くの地域で絶滅してしまいました。最後まで残っていた四国でも1990年ごろを最後に絶滅したと考えられています。一方、韓国ではユーラシアカワウソが一時危機的な状況にありましたが、現在では回復傾向とされています。
井の頭自然文化園では、ニホンカワウソをテーマとした講演会を開催します。ニホンカワウソが絶滅にいたった原因、回復傾向にあるユーラシアカワウソの韓国での取り組みを紹介し、今後の希少野生動物の保護について考えます。
日時 2010年2月28日(日)午後1時~4時30分
場所 井の頭自然文化園本園の資料館集会室
定員 60名(高校生以上)
講演内容
講演1「ニホンカワウソの絶滅から学ぶ教訓」
講師:安藤元一先生
(東京農業大学農学部バイオセラピー学科
野生動物学研究室教授)
午後1時15分~2時45分
明治以前の日本では、人々は獣害に悩まされる一方で、カワウソをはじめとするさまざまな野生動物から、毛皮、漢方薬、獣肉、くらしを豊かにする民話などの恩恵を受け取り、種の絶滅を引き起こさないレベルで共存してきました。しかし、明治時代になってカワウソは輸出や軍需のために乱獲がおこなわれ、激減しました。個体数はその後も回復せず、最後の生息地である高知県では1990年代に絶滅したと考えられています。絶滅の大きな原因は、1960年から70年代にかけて生じた水質汚染による餌動物の減少でした。今の日本なら、水質をはじめとする諸環境が改善され、野生動物に対する人々の態度も変わってきているので、カワウソは生き延びられたかもしれません。野生への再導入は将来の選択肢ですが、そのためにはヨーロッパや米国における再導入事例の研究をはじめ、検討すべきことが多くあります。とりわけ、技術面の検討だけでなく、社会の合意をいかに形成するかが大事なのです。
講演2「韓国のカワウソの現状」
講師:Sungyong Hanさん
(韓国カワウソ研究所[
KORC]所長)
午後3時~4時
韓国に生息するユーラシアカワウソは、1990年代にはニホンカワウソと同様、危機的な状態にあったとされています。しかし、研究者による調査や環境NGOによる啓発活動、また行政による各種の施策がとられ、2000年以降の調査では生息数の増加が報告されています。こうしてユーラシアカワウソは最悪の時期を脱したと考えられています。韓国におけるカワウソ調査研究の第一人者であるHanさんのグループは、1990年代からカワウソの研究に集中して取り組んできました。講演会では、韓国でのさまざまな保護活動について、また韓国カワウソ研究所の取り組みについて紹介します。
質疑応答 午後4時~4時30分
応募方法
往復はがきに参加者全員の氏名・年令、代表者の住所・氏名・年齢・電話番号を明記し、返信面に代表者の住所・氏名を記入して、
〒180-0005 武蔵野市御殿山1-17-6 井の頭自然文化園「カワウソ講演会」係までお送りください。応募多数の場合は抽選をおこない、当落にかかわらずお知らせします。
締切 2010年2月10日(水)消印有効
※井の頭自然文化園では、動物園関係者や研究者、NPO法人を対象に「カワウソワークショップ」を開催します。日本と韓国におけるカワウソの現状や保全活動について学びます。関係者のみを対象としたワークショップです。開催日時は2010年2月27日(土)、会場は井の頭自然文化園本園の資料館集会室です。
◎子ども向けワークショップ「カワウソが教えてくれること」
上記講演会「ニホンカワウソに学ぶ」に合わせて、ニホンカワウソをテーマにした子ども向けワークショップを開催します。ニホンカワウソとはどんな動物なのでしょう。なぜ絶滅したとされるほど数が減ってしまったのでしょう。子ども向けのワークショップです。
日時 2010年2月28日(日)午前10時~正午
会場 井の頭自然文化園本園の資料館集会室
講師 熊谷さとしさん
定員 30名(小学校3年生以上とその保護者)
応募方法
往復はがきに、参加者全員の氏名・学年(年令)、代表者の住所・氏名・年齢・電話番号を明記し、返信面に
代表者の住所・氏名を記入して、
〒180-0005 武蔵野市御殿山1-17-6 井の頭自然文化園「カワウソワークショップ」係までお送りください。応募多数の場合は抽選をおこない、当落にかかわらずお知らせします。
締切 2010年2月10日(水)消印有効
※講演会とワークショップのチラシは
こちらからどうぞ(PDF、2ページ、約700KB)
※
熊谷さんのウェブサイトはこちら
(2010年01月15日)