こちらでお知らせした多摩動物公園の消毒マットを上野動物園でも製作し、2023年3月28日に設置しました。多摩動物公園と同じ素材ですが、当園の飼育動物をデザインし、各門のサイズに合わせたオリジナルデザインです。
特に今年は高病原性鳥インフルエンザが猛威をふるっており、外から病原体を持ち込まないために靴底の消毒は必須です。来園されたみなさまに「動物園らしく、楽しく消毒していただくにはどんなデザインがいいか?」について、動物解説員とデザイナーが中心になって検討しました。
靴底の消毒ならやっぱり動物の足跡、そして上野動物園としてはリアリティを追求して「実物大!」とすることにしました。動物の種類は、存在感のある大きさで、かつ形に特徴のある足跡をもつ2種を選定。さらに足跡だけでなく、その間隔からも動物の大きさを実感していただくことができるよう、歩幅も実寸で製作しました。
しかし製作側がどれだけこだわっても、それが来園者のみなさまに伝わらないと意味がありません。「実寸」ということが視覚的にわかりやすいように、デザイナーのアイデアにより10cm刻みの目盛りを添えてみることにしました。そして完成したのが、次の2種類です。
正門(東園)のマットはアジアゾウの足跡!
アジアゾウたちが室内を歩き、通路に足跡がはっきり残ったときに、前後や左右の歩幅を計測しました。その結果、長さ2mのマットにちょうど左足から右足への1歩が収まりました。幅30cm以上の大きな足跡が2つずつ並んでいますが、それぞれ前にある円形の跡が前足、その直後にあるやや細長い跡が後ろ足です。
アジアゾウはこの大きな足で、約3tの体重を支えています。みなさまもアジアゾウのようにズッシリと体重をかけてマットを踏み、しっかり消毒をお願いします。

アジアゾウの足跡の柄
弁天門・池之端門(西園)のマットはハシビロコウの足跡!
ハシビロコウが歩く場面を、いろいろな角度から撮影し、映像を分析して歩幅を割り出しました。もともと動きの少ないハシビロコウを「真正面から」「真横から」と角度を狙って待機するも、なかなか思うようには歩いてくれず、やはり時間がかかりました。
沼地に生息するハシビロコウは、四方に広がる長い4本指全体に体重を分散させることで、泥や水草の上でも沈み込むことなく立つことができます。みなさまもハシビロコウのように足の裏全体でマットを踏み、ゆっくりとした歩みでしっかり消毒をお願いします。

ハシビロコウの足跡の柄
そして、入園後はアジアゾウやハシビロコウの足の形や歩き方を実際に観察してみてください。さらに、両方の足跡や歩幅を体感するため、別の入場門からぜひまたご来園ください。
〔上野動物園教育普及係〕
(2023年04月09日)