上野動物園のバードハウス2階にある4号室の展示種を「渡りをする鳥たち」をメインに変更しました。あらたに登場したのは、オスの青い羽色と鳴き声が美しいオオルリや、食用卵でもおなじみのウズラ、カッコウのなかまで夏鳥として日本にやってくるホトトギスなどです。
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オオルリ | ホトトギス |
戦国武将の人柄を表す句として残っている「鳴かぬなら鳴くまで待とうホトトギス」などにも登場するホトトギスはよく知られた鳥の名ですが、姿は思い浮かぶでしょうか? その鳴き声は「キョキョ、キョキョキョ」とか、「特許許可局」と聞こえるとも言われます。夏になると、とくに薄暗い明け方などにこの声が山から響いてきて、夏の訪れを感じさせてくれます。
今回動物園にやってきたホトトギスはケガをして保護された個体1羽です。ホトトギスは冬のあいだ暖かい国に渡ってすごす鳥ですが、この個体は多少飛べるものの、渡りのための長距離飛翔は無理なので野生に戻すことができません。そこで一年中暖かいバードハウスで飼育することにしました。
当初は生きたコオロギやガを与えていたので、動物園のふだんのえさに慣れてくれるのか心配でしたが、今では解凍した冷凍コオロギをおもに食べるようになり、環境にも慣れて落ち着いて過ごしています。
枝にじっと止まっていることが多く、羽の色も薄茶色でとても派手とはいえません。しかし、野生でもなかなか目にすることがない鳥なので、ぜひバードハウスでごらんください。そして初夏に野生のホトトギスの鳴き声を聞いたら、「あ、あの地味なやつが鳴いている」と姿を思い出してくださいね。
〔上野動物園東園飼育展示係 小川美紀〕
(2016年03月25日)