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介添哺育のスラウェシメガネザル、元気に成長中!
 └─2009/12/08

 2009年11月11日、上野動物園の西園にある小獣館の地下でスラウェシメガネザルの子どもが生まれました。出産予定日は来年(2010年)の1月~2月だったので、約2か月も早い出産です。スラウェシメガネザルの妊娠期間は、一般に6か月前後ともいわれているのですが、今回の出産によって、4か月程度である可能性も出てきました。

 両親であるスラウェシメガネザルのペアは、2002年に上野動物園に来園しました。メスはこれまでに7回出産しているのですが、自分で子どもを育てあげたことはありません。また、無事に育ったのは、2008年に人間が育てたオス1頭のみです。

 これまで、出産直後の母親は赤ちゃんをしっかり抱き、母乳も与えていたようです。ところが、数日後に子どもは死亡してしまい、私たちは何度も悔しい思いをしました。もしかすると、母乳が出始めるのが少し遅いのかもしれません。あるいは、母乳の量が少ないのかもしれません。

 そこで今回は、誕生日当日から体重測定を毎日おこない、その増減に応じて飼育係がミルクを飲ませる「介添哺育」を進めることにしました。とはいえ、1日数回、あくまで子どもの体力が落ちない程度の量を与えるだけです。基本的に母親が自分で子どもを育てるよう、回数を調整しました。

 その結果、赤ちゃんは元気に成長。枝につかまる力もしだいに強くなってきました。今ではほとんど地面に落ちることはありません。母親は子どもの体を舐めてやったり、口にくわえて運んだり、しっかり世話をしています。最初は子どもに無関心だった父親も、数日後から子どもを気にしてか、そばにいるようになりました。

 現在、子どもの体長はほんの10センチ弱。体色も茶色なので、枝の上にいてもなかなかわかりません。しかも、母親が抱いているときは、短いしっぽが垂れているところしか見えないこともあります。どうぞ、じっくり探してみて下さい。

写真は上から:
 生後4日。哺乳中
 生後10日。両親といっしょ
 生後14日。枝の上の赤ちゃん
 生後20日。こうして体重を測ります

・東京ズーネットBBで介添哺育の動画を公開しています!
 こちらをどうぞ(2009年11月20日撮影)。

〔上野動物園西園飼育展示係 廣田敦司〕

(2009年12月08日)



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