多摩動物公園では、2024年12月25日にアジアゾウ「アヌーラ」(オス、推定73歳)をメス舎からオス舎へ、「ヴィドゥラ」(オス、18歳)をオス舎からメス舎へ移動させました。獣舎の交換に至った経緯については
こちらをご覧ください。今回は、獣舎を交換してから1年が経過したアヌーラのようすについてご紹介いたします。
この1年間、アヌーラをオス舎で飼育する中で、以前メス舎で飼育していた時と比べ、いくつかの良い変化が見られました。今回は、その中から2つの変化についてお話ししたいと思います。
1つ目は、アヌーラがプールを使用するようになったことです。メス舎で飼育していたころはプールに入るようすは見られませんでしたが、オス舎へ移動したタイミングでオス舎のプールを使用してもらえるように慣らしました。具体的には、アヌーラにとって「ここがプールであり、安全な場所である」ことを理解してもらえるように、はじめは水量を少なく設定しておき、アヌーラのようすを見ながら徐々に水量を増やしていきました。
その結果、移動後初めて迎えた昨夏には、満水の状態のプールにも入るようになりました。プールは体を冷やすだけでなく、水の中で体を動かすことで、陸上とは違った動きや負荷を得られる場所でもあります。さらに、出入りの際に階段を使うことで、自然に運動量が増える効果も期待できます。また、冬季には水をすべて抜いた空のプールにフィーダー(給餌器)を設置しています。これにより、冬でも夏と同じように、放飼場の全体を使ってアヌーラが行動できるようになりました。
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| プールを使用するアヌーラ(夏) | プールを使用するアヌーラ(冬) |
2つ目は、新たなフィーダー設備を利用できるようになったことです。これはメス舎の放飼場にはない設備で、鼻をちょうど出せる大きさの穴をいくつか開けた板を鋼管柵に取り付けたものです。この板によって鼻を出せる位置が限られ、さらにフィーダーの設置場所を自由に変えられるため、えさを探す行動に変化が生まれます。
その結果、アヌーラが工夫しながらえさを探し、取る行動が引き出され、体を動かす時間が増加したり、積極的にエンリッチメントに取り組んだりするなど、精神的な変化も感じられるようになりました。
板の穴から鼻を出し、えさを探すアヌーラ
オス舎へ引っ越してから1年が経ちましたが、アヌーラは新しい環境に慣れ、自分なりの過ごし方を見つけてきました。ご来園の際には、プールエリアに入る姿や、フィーダーから器用にえさを取るアヌーラのようすにも注目してみてください。これからもアヌーラが生き生きと過ごせる環境づくりを続けていきたいと思います。
〔多摩動物公園南園飼育展示第1係 髙橋〕
(2026年02月13日)