クリスマスメロディが聞こえてくる12月、多摩動物公園の昆虫生態園では、恒例の「オオゴマダラのクリスマス展示」が始まっています。
沖縄に生息するチョウ、オオゴマダラの蛹を、今年は手作りの小さなツリーのオーナメントとして飾りました。ツリーにあしらった枝葉は、11月中旬に園内のアフリカ園で剪定されたカイヅカイブキ(ヒノキ科の植物)を使いました。
昆虫園のオオゴマダラは、裏側飼育エリアに置いた飼育ケージの天井や、蛹になるための足がかりとなる擬葉(人工の葉)の裏側で蛹になります。

ケージからぶらさがるオオゴマダラの蛹。
左の手前の蛹は、霧吹きを使って湿らせ、糸をゆるめてわかりやすくした状態。
蛹化直後は軟らかいので、1日ほどしてから、オーナメントとして飾るためのアクリル棒につけかえます。この際、蛹化の際に体を固定するために口から出した糸を再利用します。蛹の糸はとても丈夫で、蛹化場所によっては、投網のように張られています。これを霧吹きで湿らせ、蛹をやさしく支えながら、糸が離れないようにして剥がします。
オオゴマダラの蛹は羽化が近くなると、翅の模様が透けて見えるようになり、鮮やかな色を失うので、羽化専用ケースに戻します。オオゴマダラの蛹はふだんからご覧になれますが、クリスマスならではの展示をお楽しみください。なお、昆虫園本館1階「ふれあいコーナー」で、カブトムシなどで彩られたクリスマスツリーもあわせてご覧ください。
〔多摩動物公園昆虫園飼育展示係 中尾理幸〕
(2014年12月12日)