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皇帝、ナポレオンフィッシュ登場!──2006/07/21
 葛西臨海水族園の世界の海エリア、「南シナ海」の水槽に、あたらしくナポレオンフィッシュ(メガネモチノウオ)を展示しました。目のまわりにメガネをかけたような模様があることから、標準和名は「メガネモチノウオ」。

 また、成長につれ頭部がふくらみ、その外見がフランスの皇帝ナポレオンがかぶっていた帽子に似ているため“ナポレオンフィッシュ”とも呼ばれています。この名前の方が有名かもしれません。

 ベラのなかまでは最大の種類で、体長は2メートル以上になり、インド・西部太平洋の暖かいサンゴ礁の海などに単独、またはペアでくらしています。

 今回展示したナポレオンフィッシュは、体長約90センチ。水族園に到着後、予備水槽で餌づけをしていましたが、機嫌をそこねることもあるようで、なかなかこちらの思いどおりに餌を食べてくれず、やきもきしました。

 ところで、「南シナ海」の水槽中央には、英名で「ジャイアントグルーパー」と呼ばれる大型のハタのなかま“タマカイ”が先住しており、新入りのナポレオンを追い回さないか、心配しました。しかし、そこは水槽の中を悠々と“わが物顔”で泳いでいるタマカイです。気にとめるようすもなく、心配は杞憂に終わりました。

 ナポレオンフィッシュを入れた水槽は、タマカイだけでなく、鋭い歯をちらつかせるウツボのなかまなど、大型の魚がひしめく水槽です。新皇帝ナポレオンフィッシュが無事成長していけるかどうか、担当者としても気の抜けない日々が続きます。

 ナポレオンフィッシュは、野生での生息数の減少が心配されています。野生動植物の国際的な取引を規制するワシントン条約でも、「付属書II」(国どうしの取引を規制しないと、将来絶滅のおそれが高くなる生物)に指定されています。葛西臨海水族園では、貴重なこの個体を大切に飼育展示していきたいと思います。

〔葛西臨海水族園飼育展示係 笹沼伸一〕

(2006年7月21日)



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