葛西臨海水族園は、2016年から
海遊館と連携して、ミナミイワトビペンギンの人工授精に取り組み、世界初となる液状保存精液を用いた人工授精に成功しました。
2017年には両園館で共同研究契約を締結し、さらなる研究の発展を目指して冷凍保存精液による人工繁殖に着手しました。
2022年に葛西臨海水族園で誕生したヒナが冷凍保存精液を用いた人工授精による個体と判明し、本種では世界初となる繁殖成功、さらに2024年には、海遊館で誕生したヒナが世界2例目の成功を収めました。
このたび、これらの成果が認められ、2025年5月21日から22日に開催された「令和7年度 公益社団法人日本動物園水族館協会 通常総会」において、葛西臨海水族園および海遊館のミナミイワトビペンギン人工授精チームが「古賀賞」を受賞しました。葛西臨海水族園は今回が初めての受賞です。
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授賞式の様子(豊橋総合動植物公園提供) | ミナミイワトビペンギン |
受賞理由
長年の共同研究により世界で初めてミナミイワトビペンギンの人工繁殖に成功した研究で、冷凍保存精液による人工授精技術の開発とその確立に顕著な功績があったため。
業績
・2016年
液状保存精液を用いた人工授精による繁殖に成功(世界初) 海遊館で孵化
・2022年
冷凍保存精液を用いた人工授精による繁殖に成功(世界初) 葛西臨海水族園で孵化
・2024年
冷凍保存精液を用いた人工授精による繁殖に成功(世界2例目) 海遊館で孵化
内容
国内飼育下のミナミイワトビペンギンは、個体群の高齢化が進んでいることや、性比の偏り等による繁殖成績の不振等の理由により個体数が減少しています。当園は、日本国内において最も多い40羽(オス25、メス15)を飼育し、繁殖に注力しています。海遊館では24羽(オス13、メス8、不明3)を飼育しており、この2施設が連携することで、日本国内における本種の健全な個体群の形成に向けた取組を推進しています。

表彰状とメダル
古賀賞について
希少動物の繁殖に特に功績のあった動物園や水族館に対して贈られる賞です。日本動物園水族館協会の元会長で、元上野動物園長・古賀忠道博士の業績を記念して1986年に制定されました。
国内での飼育状況(2024年12月31日現在)
9園館 117羽(オス69、メス45、不明3)
資料:2024年ミナミイワトビペンギン国内血統登録台帳【(公社)日本動物園水族館協会】
(2025年06月12日)