「東京湾の漁業」水槽ではニホンウナギとマアナゴを展示しています。
どちらも食卓にのぼる日本人になじみのある魚ですが、水槽前では「どっちがウナギだ?」「こっちがアナゴだよ! いやいやこっちが……」と見分けに苦戦している声が聞こえてきます。そこで今回は、飼育担当者として実際に観察していて、わかりやすいと感じたニホンウナギとマアナゴの見分け方をご紹介します。
私がいちばん見分けやすいと思うのは尾びれの違いです。
次の写真のように竹筒に隠れ、尾びれだけが見えていることがあります。2つ見えている尾びれのうち、丸みを帯びているのがニホンウナギの尾びれで、尖っているのがマアナゴの尾びれです。

竹筒から出ているニホンウナギ(上)とマアナゴ(下)の尾びれ
次にわかりやすい違いは顔です。ニホンウナギは下あごが前に出ていますが、マアナゴは逆に上あごが前に出ています。また、目を比べると、マアナゴのほうが大きいです。ほかにも、マアナゴには体の側面に白い斑点があります。

竹筒から顔を出すニホンウナギ(左)とマアナゴ(右)

泳ぐマアナゴ。体の側面にある白い斑点が目立つ
この白い斑点は、側線という水の動きなどを感じ取る感覚器官に沿って並んでいます。側線はニホンウナギにもありますが、マアナゴのように目立ちません。水槽では竹筒のなかや下に身をひそめていることが多いですが、タイミングよく全身を見ることができたら、ぜひ観察してみてください。
ときどき、ニホンウナギが水槽内のどこにも見当たらない場合があります。そんなときは水槽の底をよ~く探してみてください。砂からほんの少しだけ顔を出しているところを見つけられるかもしれません。とても難しいですが、見つけるコツは潜んでいるニホンウナギの呼吸によって上下に動いている砂を探すことです。

砂からほんの少しだけ顔を出すニホンウナギ
2種を同じ水槽で展示するようになってすぐのころは、飼育担当者である私もからだの一部分を見るだけでは見分けることが難しかったのですが、見た目の違いや、それぞれがよくいる場所などを知ることで、今では即座に見分けることができるようになりました。
それぞれの違いを知っていただき、食べるだけでなく、ぜひ生きている姿をじっくりと観察してみてください。
〔葛西臨海水族園飼育展示係 加藤舞〕
(2023年01月27日)