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	      葛西臨海水族園の「世界の海」エリア「深海の生物3」水槽に水族園初展示の魚がデビューしました。 
 
 その名は「カゴカマス」。カマスを名乗ってはいますが、じつはサバに近いなかまで、成長すると全長40センチほどに達します。インド洋・太平洋の熱帯から温帯に分布し、おもに水深約100~500メートルに生息しています。 
 
展示した2尾のカゴカマスは、今年(2014年)の7月後半と9月中旬、相模湾で職員が漁船に乗り、採集した個体です。 
 
 今まで飼育したことがない種なので、まず先輩職員から情報を収集しました。とにかく落ち着かせる必要があったため、暗幕を水槽周囲に張り、搬入後は2尾にストレスを与えないようにしてしばらく観察することにしました。 
 
 数日で水槽にも慣れてきたようすだったので、餌であるイカやアジの切り身を投入したところ、近くに落ちた餌にビックリしてパニック状態になってしまいました。しかし水槽全体を薄暗くしてあるため、遠くに餌を投げ入れても気づいてくれません。試行錯誤の結果、「魚が進む先、周囲よりやや明るいところに餌を落とす」という方法で、なんとか興味をもたせることができるようになりました。 
 
 それでも確実に餌を認識し、よく食べてくれるようになるまでに1か月半もかかりました。これからもしっかりと飼育に取り組み、新たな知見を得られるよう観察を続けるつもりです。 
 
ふだんなかなか見ることができない深海魚カゴカマス。その美しく元気な姿は一見の価値ありです。この機会にぜひ葛西臨海水族園にお越しください。 
 
〔葛西臨海水族園飼育展示係 増渕和彦〕 
 
(2014年11月07日) 
 
                        
  
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