ニュース
同居した3匹のナポレオンフィッシュ
 └─2011/02/04

 メガネモチノウオといわれてどんな魚なのかわからない人でも、ナポレオンフィッシュといわれればすぐに思い浮かぶと思います。葛西臨海水族園世界の海「南シナ海」の水槽では、大小さまざまな3匹のナポレオンフィッシュを見ることができます。

 このなかまは雌性先熟といって、まずメスとして成熟し、そのあとにオスに性転換します。ナポレオンフッシュが属するベラ科の魚には、この雌性先熟がよく見られます。ナポレオンフッシュの場合、成熟したオスはおでこが突き出るため、フランスの皇帝ナポレオンがかぶっていた帽子の連想から、その名がつきました。

 以前から水族園には大きさのちがう3匹のナポレオンフィッシュがいましたが、一番大きな個体だけを展示していました。この個体は少しだけおでこが出ていますが、外見からだけではメスなのか、オスなのかは判別できません。3匹とも同じ水槽で一緒に展示したかったのですが、とくにオス同士の場合、お互いに激しく干渉することがあり、優劣が付いてしまうと弱い方がいつもいじめられっぱなし、追い回されてしまうこともあるため、ほかの2匹はバックヤードの水槽で飼育していました。

 なんとか3匹が仲良く同居できるように、ある作戦を考えました。大きな個体がすでにいる水槽には小さなものは追加しにくいので、まずは一番大きなものを取り出し、ある程度の日数をおいて、小さい順に水槽に入れていくことにしました。

 一番小さいナポレオンフィッシュを入れてから約1か月後に二番目に大きな個体を、さらに1か月後の2011年1月26日、一番大きな個体を入れました。このときには一番大きなナポレオンが少し突き出たおでこをまっ黄色にして、前からいる2匹にアピール、威嚇しながら泳ぎ回り、一触即発のような状況になりましたが、いまのところはけんかやいじめは起きていません。

 ベラのなかまの産卵行動は夕方近くにおこなわれ、水族園では水槽照明が消える直前に観察できます。ナポレオンフィッシュの産卵行動が見られた水族館もあると報告されているので、葛西臨海水族園でも観察できればと期待しています。

〔葛西臨海水族園飼育展示係 牧茂〕

(2011年02月04日)



ページトップへ