野生のユーラシアカワウソはおもに川や海に単独でくらし、なわばりの中に複数の休息場をもちます。夜行性のため、おもに夜間に河川沿いを移動し、日が昇る頃には近くにある休息場で休むようです。
井の頭自然文化園のユーラシアカワウソの展示場では、岩組みの巣穴と木製の巣箱を休息場として設置しており、カワウソはこの2か所をおもな休息場として使っています。
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| 左側に木製の巣箱、右側に岩組みの巣穴がある展示場 | 現在飼育しているユーラシアカワウソのメス |
木製の巣箱は古くなったため2年前に更新しましたが(
カワウソの巣箱が新しくなりました!)、岩組みの巣穴にも課題がありました。
まず、強い雨の日に見られる雨漏りです。カワウソの上に直接雨が落ちてくるわけではないのですが、古くなり岩を固定しているセメントに隙間ができ、雨が内部の岩の表面を伝っていました。
また、巣穴の入口は狭くなっていたため、カワウソが中に入ると完全に隠れてしまい、カワウソがいることもわかりませんでした。来園者だけでなく担当者にとっても、展示場の外からカワウソの健康状態を確認することが難しく、課題のひとつでした。
巣穴の改修工事
そこで昨年2月、岩組みの巣穴の改修工事をおこないました。改修では「観察のしやすさ」だけでなく、カワウソにとっての「快適さ」を確保することにこだわりました。
具体的には、巣穴の入口は大きければ大きいほど来園者の方からは見つけやすくなりますが、入口が広すぎると雨風をしのぐことが難しくなります。もしかしたらカワウソがあまり安心できなくなり、巣穴を使わなくなってしまうかもしれません。狭すぎず、広すぎない、絶妙なバランスを目指しました。
そうして無事に新しい巣穴が完成し、もうすぐ1年が経とうとしています。

新しい岩組みの巣穴
カワウソの巣穴の使い方
この1年、季節の移り変わりとともにカワウソの岩組みの巣穴の使い方も変わっていきました。やはり最初のうちは警戒していたようで、なかなか使っているようすは確認できませんでしたが、1か月もすると使うことが増えてきました。
とくに夏の暑い時期には石がひんやりして気持ちがよいのか、ほぼ毎日使うようになり、ほっとしました。そして冬になった今では、毎年恒例の「巣材集め」が観察されています
冬限定! ふわふわのベッドを見てみよう
カワウソが休息場に枯れ葉や草などの植物を持ち込む「巣材集め」の行動は1年中確認されますが、冬になると植物が追加されていくスピードは段違いに早くなり、見る見るうちに冬仕様の分厚いベッドができあがっていきます。
今年は珍しく木製の巣箱の方からベッドづくりがスタートしましたが、その後は岩組みの巣穴のベッドづくりに余念がないようです。
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| 2025年11月16日 | 2025年11月30日 |
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| 2025年12月30日 | 2026年1月11日 |
木製の巣箱の中はアクリル越しに見られるので、ぜひ中のようすを観察してみてください。岩組みの巣穴の方は観覧通路からは少し遠いですが、まっさらで何もない状態ではなく、カワウソによって持ち込まれた植物がはみ出していたり、シルエットが見えたりすると思います(最近ではベッドのかさが増えすぎて、植物しか見えないかもしれません!)。
来園された際にはぜひ、カワウソはもちろん、巣の中にも注目してください。
〔井の頭自然文化園飼育展示係 大河原〕
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