井の頭自然文化園の家畜舎に、ヒツジ(コリデール)の「メリダ」が仲間入りしました。メリダは2024年3月17日生まれの1歳のメスです。
動物園では、新しく動物が入ってきた際、すぐに仲間たちといっしょにして飼育を始めることはありません。まず、ほかの動物にうつしてしまう病気を持っていないか、獣医師が検査する「検疫」をおこないます。メリダも6月11日に来園してからすぐに動物病院併設の検疫舎に入り、しばらくすごすことになりました。
来園当日は検疫舎で落ち着いて静かにすごしていたメリダ。しかし翌朝、すこし離れた家畜舎のヤギたちの鳴き声が聞こえたようで、その声に大きな声でこたえ始めました。ヤギもヒツジも群れでくらし、声で仲間とやりとりをします。家畜舎のヤギたちも、聞いたことのないメリダの声にソワソワ。まわりをキョロキョロしながら、すがたが見えない声の主を探し大声で鳴き返します。
そんな賑やかな日が数日続きましたが、ヤギたちはしだいにメリダの声に興味を失い、こたえることもなくなっていきました。一方メリダは、応答がなくなっても時折大きな声で鳴いていました。それはまるで「みんな、どうしたの? 私はここにいるよー!!」と呼びかけているようでした。検疫が終わるまで、あと少しの辛抱です。
そしてメリダも10日後に晴れて検疫が終了し、家畜舎に移動しました。家畜舎ではヒツジ1頭、ヤギ3頭、ニワトリ3羽を飼育していますが、まずは先輩ヒツジの「ベル」とバックヤードの寝室でご対面。柵越しににおいを嗅ぎ合って、お互いをあっさりと受け入れたようでした。

柵越しに見合いをしているメリダ(左)とベル(右)
翌朝にはメリダを運動場に出して他のメンバーと合流させました。ヤギ2頭は最初驚いたようすでしたがしだいに落ち着き、メリダはベルの後をついて歩くようになりました。2頭のヒツジは運動場でもいっしょに行動していることが多く、そんなすがたを見ると微笑ましく思います。メリダはヤギやニワトリとの対面もなんなくこなし、1か月たった今ではすっかりなじんだようで、ベルとのんびり休憩するすがたがみられます。

メリダと初めて出会ったときのヤギたち
あんなに大きく響いていたメリダの声は、家畜舎にやって来てから聞くことはなくなりました。新しい環境にも慣れ、仲間たちと安心してくらせているという何よりの証拠なのかもしれません。

いっしょに休むベル(手前)とメリダ(奥)
〔井の頭自然文化園飼育展示係 山口〕
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