彫刻館特設展「
ひととプロフィール──北村西望の肖像彫刻」では、彫刻家・北村西望による肖像彫刻65点を展示します。
肖像は、故人の業績を公共の場に残し、あるいは近しい存在の記憶を留めるために依頼されました。完成したブロンズ像は鋳造されて注文主に納められ、過程でつくられた石膏原型が芸術家の手元に残されました。こんにち西望の肖像制作の全貌を知ることができるのも、彫刻家本人が寄贈したコレクションならではのものです。自律的な表現とは異なり、一種の請負仕事であったのにもかかわらず、「人がする事は人のためでなければならぬ」と、西望は芸術家による社会参加の意味を見出していました。
肖像主となったのは、戦前から戦後にかけての実業家、政治家、スポーツ選手などで、故郷長崎出身者が多いことからも彼の信条や交友関係をうかがい知ることができます。西望は「内容・外姿混然一体」であることを求め、内面にある威厳や奥ゆかしさ、その人らしさを重視していました。
本展では、肖像作品に加え、肖像主のプロフィールを人にまつわる社会的な属性としてご提示するとともに、内面の表出をもご覧いただきます。固有の場と時間と結びついた用途のほかに、人のいかなる要素を三次元表現にしたか、観察いただくよい機会となるでしょう。
期間 2019年8月10日(土)〜10月31日(木) 9時30分〜16時30分
場所 彫刻館B館 特設展会場

(2019年07月06日)