暑さの続く今日この頃、みなさまいかがお過ごしでしょうか。立秋は過ぎたとはいえ、まだまだ夏真っ盛りの8月、井の頭自然文化園のペンギンプールを掃除していると、来園者の方からこんな質問を受けることがあります。
「あの子は子どものペンギンですか?」
「あのペンギンどうしちゃったの!?」
そのペンギンがこちら。

写真1 羽毛がモコモコなフンボルトペンギン
たしかにいつも見るフンボルトペンギンの姿とは違いますね。ペンギンは1年に1回、全身の羽毛が抜け変わる「換羽」という時期をむかえます。換羽の理由はさまざまな説がありますが、ペンギンの場合、羽毛が古くなると、潜水時に重要な防水力が弱くなってしまうからではないかと言われています。
この換羽、じつはペンギンにとってはかなりの労力を使うものなのです。というのも、換羽中のペンギンは防水力が著しく落ちているため、上手に泳ぐことができず、水に入らなくなります。しかし、彼らのえさは海を泳ぐ魚です。泳げないということは当然、えさを食べられないということです。
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写真2 もうすぐ換羽終了 | 写真3 左:換羽終了個体 右:まだ換羽が始まっていない個体 |
そこで換羽前のペンギンは通常の2〜3倍の料のえさを食べ、たっぷりと脂肪を蓄えます。そしていざ換羽が始まると、その間は基本的に何も食べず、体力を温存するためにじっとして過ごします(中にはえさを食べる個体もいるそうです)。
くらべてみると羽毛の色が違います(写真3)。きれいな白黒の羽が、1年経つと少し茶色くなってきているようにも見えます。
個体差もありますが、換羽は2週間前後で終わります。2016年8月15日現在、まだ換羽の始まっていない個体が1羽います。この記事が掲載されるころにはもしかしたら始まってしまっているかもしれませんが、ペンギンビフォーアフターを見られるチャンス!! ぜひ見くらべてみてください。
〔井の頭自然文化園飼育展示係 久保田夕紀子〕
(2016年08月27日)