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サーバル「ユリ」親子の近況
 └─多摩  2016/08/17

 多摩動物公園では2015年9月28日、サーバルの「ユリ」が「アポロ」と「ルナ」を出産。そろそろ1年が経とうとしています。ユリ親子の近況をお伝えしましょう。

 オスのアポロはとても食欲旺盛です。自力で肉を食べ始めたころから、えさに対する執着は凄まじく、隙さえあればユリやルナの分も食べてしまい、一時は少々肥満気味な体型になりました。

 今では食欲だけでなく、食べる速度もおとなと変わらなくなったため、ふだん3頭いっしょに同じ部屋で過ごさせていますが、採食時だけはアポロ1頭にしています。えさを食べ終え、1頭であることにふと気づいたアポロがユリやルナを呼ぶように甘えた声で鳴き始める姿を見ると、まだまだ子どもなのだなと思うことがあります。

 メスのルナはと言うと、小さいころからマイペースで慎重な性格は変わらず、屋外から室内に入れるときも、アポロとユリが跳ぶように寝室に戻り、えさを欲しがるのに対して、ルナは寝室のやや外で立ち止まっていたり、われ関せずといったようすで茂みで休んでいたり、しばしば飼育係の手を焼かせます。しかし、春先から始めたジャンプの練習の際は、アポロよりも先にジャンプをし始め、意外な一面も見せてくれます(夏は暑さ対策としてサーバルシャンプは休止中です)。


寝室で寄り添って過ごす3頭

 母親のユリは子育てが一段落し、のんびりと過ごしていますが、放飼場では子どもたちの位置を把握しています。子がユリのえさを欲しがれば分け与えたり、子が寄り添っているときはグルーミングをしてやったり、母親らしい姿をしばしば見せてくれます。母子は放飼場では一定の距離を保って休むようになってきましたが、寝室に入ると、2つある部屋を行き来自由にしてあっても、どちらかの部屋で3頭が集まっている姿をよく見かけます。

 仲のよい3頭ですが、今後「親子分け」が待っています。個体の状況によりますが、過去の例によれば、出産後1年ほどで親に発情が戻ることが多いようです(発情回帰)。発情した親は、子どもといるのを嫌がったり、あるいは親子の間で発情行動が生じてたりするので、そのころが親子分けの頃合です。

 暑い日が続いているため、放飼場に出ていてもほとんどの時間は日陰で休んでいますが、曇天時や涼しいときは親子で追いかけっこしている姿もまだ見られます。親子でともに過ごす期間は残りわずかかもしれません。多摩動物公園でぜひサーバル親子の姿をごらんください。

〔多摩動物公園北園飼育展示係 佐々木悠太〕

(2016年08月17日)


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