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チンパンジーの大先輩「ペコ」のために
 └─多摩  2016/08/16

 多摩動物公園のチンパンジーのメス「ペコ」は現在推定55歳。日本では2番目に高齢のチンパンジーで、子どもを7頭育てた立派なお母さんです。


手ぬぐいを首にかけた「ペコ」

 大先輩のペコにはいつまでも元気でいてほしい──そんな思いから多摩動物公園では高齢動物であるペコのケアをおこなっています。たとえば、お腹に負担がかからないよう、えさの量や給餌時間の調整をしています。

 また、高齢になると今までどおりのえさでは栄養の過不足が生じます。そこで、毎日観察し、ペコの体調に合わせた管理が必要になります。

 暑い日や体調の悪そうな日はゆっくり過ごせる非公開の放飼場に出しています。基本的にペコの動きは少なく、毎日省エネでくらしていますが、群れの中でトラブルが起きると先頭を切って動いています。また、自分の子どもといっしょにいると動きが活発になります。こうした機会に体を動かし、刺激的で健康な日々を送ってもらえればよいと思っています。

 そんなペコの娘の「モコ」が先日、沖縄こどもの国に移動しました。モコは他の個体とじょうずにコミュニケーションをとり、群れの子守りもよくする性格のやさしい個体でした。そのため、移動先でのモコについては、さほど心配はしていませんでした。

 むしろ私が心配していたのは、モコのお母さんであるペコの方でした。ペコはモコのあとをくっついて歩くことが多く、娘のモコにグルーミング(毛づくろい)をよくしてもらっていました。モコがいなくなったら、ペコがふさぎ込まないだろうか……?

 そんな担当者の不安をよそに、他にも「チコ」という娘がいるからでしょうか、モコの出発後、ペコは意外なほど落ち着いていました。

 ペコにはまだまだチンパンジーについて教わってばかりだと感じます。これからもチンパンジーたちのために、よりよい飼育管理を目指していこうと思います。

〔多摩動物公園北園飼育展示係 田口陽介〕

(2016年08月16日)


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