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深海の大食漢、チゴダラ
 └─葛西  2016/08/12

 葛西臨海水族園「世界の海」エリア、深海コーナーにある「深海IV」の水槽ではチゴダラを展示しています。チゴダラは水深約150~650メートルの深海に生息するタラのなかまで、「ドンコ」と呼ばれることもあります。

 マダラなどは鍋の具材として有名ですが、このチゴダラも味噌汁に入れたり、煮つけにしたりすると、ぷるぷるとしたゼラチン質の皮とほろほろとほどけるようなきめ細やかな身、そして濃厚な味の肝がとてもおいしい魚です。

水槽内を泳ぎ回るチゴダラ
チゴダラの下あごのひげ

 タラのなかまには下あごに一本だけヒゲがあり、このチゴダラにも生えています。このヒゲはセンサーの役割をしていると言われており、展示しているチゴダラもヒゲを水槽の底に触れさせるかのように頭を下にして泳ぎ回っています。えさとしてアジやイカ、アマエビの切り身、アサリなどを与えていますが、このヒゲに触れるやいなや大きな口を開けて食べます。

 私たちがご飯をお腹いっぱい食べたときに使われる「たらふく」とは漢字で「鱈腹」と書きますが、この字のとおり、チゴダラもたくさんのえさを食べ、お腹をパンパンにしたようすをうまく言いあてていると思います。深海ではえさにめぐり合うことが少ないため、チゴダラは食べられるときはできるだけ食べるという生存戦略をとっていると考えられています。しかし、水槽の中ではえさが豊富に得られるからなのか、ときどき、えさの選り好みをしているかのように見えるときがあります。

 えさを探すヒゲの使い方や、水槽の中を絶えず泳ぎまわるチゴダラのようす、えさを食べた後の「鱈腹」のようすなどをぜひ見にきてください。なお、えさは週に3回、午後の時間帯に与えています。

〔葛西臨海水族園飼育展示係 小味亮介〕

(2016年08月12日)


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