昨年(2015年)末にカナダのアシニボイン動物園からやって来たユキヒョウの「コボ」(オス、3歳)。多摩動物公園での生活にもだいぶ慣れてきました。そのくらしぶりをご紹介します。
朝、ユキヒョウのいる獣舎へ向かうと、コボは歯を見せて威嚇の表情で挨拶をしてきます。なかなか慣れないな……と思っていたのですが、初めの頃はうなり声もセットだったことを思えば、少しずつ慣れてきていると感じられます。

威嚇してくるコボ
ユキヒョウたちは午前と午後で入れ替えをして外に出しているのですが、午後担当のコボは、午前組が外に出る物音を聞いても動こうとせず、「自分の番じゃないし」といったようすで寝室でふんぞり返っています。
午後の入れ替え時になるとコボはよっこらしょと起き上がり、威嚇行動を見せながら私の足もとの通路を通り、放飼場へ出かけていきます。
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ユキヒョウ放飼場のヤマモモ:BEFORE (写っているのはメスの「ミルチャ」) | AFTER |
放飼場に出たコボは、丸太をかじったり、土を舐めたり、草の上で転がったり、気ままに過ごします。そしてついには、植えたばかりのヤマモモの木を破壊し始めます……。コボが来るまで上に上にと順調に伸びていた若いヤマモモの木は、ずいぶん背丈が縮んでしまいました。楽しそうなコボを見ると責める気にもなれず、折れたヤマモモの枝をさみしく眺めるしかありません。
夕方になるとコボは室内を覗いたり鳴いたりして「帰りたい」アピールをし、部屋に入ると大好きなえさを食べ、担当者におやすみなさいの威嚇をして就寝です。
若いコボはいろいろな表情や行動を見せてくれます。成長とともに今後どのようなユキヒョウになっていくのか、とても楽しみです。
ところでコボは、冬毛から夏毛への生え変わりによる脱毛が他のユキヒョウに比べると多く、涼しいカナダから暑い日本へ来たことで急速に衣替えをしようとしているようにも見えます。ややぽっちゃりとも見えるコボですが、夏毛になってスリムな姿を披露してくれるかもしれません。
〔多摩動物公園南園飼育展示係 高津磨子〕
(2016年08月04日)
(2016年08月06日更新)