写真でふりかえる25

葛西臨海水族園は、1882年(明治15年)に上野動物園にできた
日本最初の水族館「観魚室(うをのぞき)」の流れを引き継ぐ施設です。
開園時の準備のための南極からエジプト、アイスランドにまで渡る世界中の海での採集の様子、
またこの25年間の展示や周囲風景の変化など、これまでの歩みを紹介します。

  • 日本最初の水族館「観魚室(うをのぞき)」。近年の調査でこのようなトンネル形と判明。

  • 昭和39年に開館した上野動物園水族館。上野動物園内に建てられた最後の水族館で、その伝統が水族園に引き継がれた。

1「観魚室(うをのぞき)から葛西臨海水族園へ」

1989年(平成元年)10月10日、葛西臨海水族園はオープンしました。水族園に至る系譜をたどると、1882年(明治15年)、上野動物園内にできた日本で最初の水族館「観魚室(うをのぞき)」にまでさかのぼることができます。日本初の水族館の末裔、それが葛西臨海水族園です。

  • 巨大なアクリル製ドーナツ型水槽の制作など、さまざまな困難から工事は遅れぎみに。

  • 開園の5ヶ月ほど前、建設工事の合間を縫って、やっと試験魚が水槽に運び込まれた。

  • 水族園オープン!時には葛西臨海公園駅にまで人の列が達することも。

2「葛西臨海水族園完成へ」

水族園の建設工事は1987年から始まりましたが、当時世界最大のアクリル製の巨大水槽の制作など多くの困難がありました。そのため、水槽で試験的な魚の飼育が開始できたのは、開園の約5ヶ月前。その後も困難は続き、水槽壁面などから化学物質が溶けだすなど、魚が飼えない水槽が続出しました。入園して最初の水槽「大洋の航海者:サメ」では、展示するサメが入れられたのは、開園の数日前とギリギリでのオープンでした。

  • 北極レゾリュートでの採集、潜水時、水中で方向を見失わないようにコンパス(方位磁石)を使う。ここでは磁北に近すぎてコンパスの針がグルグル。

  • オーストラリアのダーウィンでのナーサリーフィッシュの採集。

  • ボートの上げ下ろし場には『ワニに注意!』という看板が。実際、3m級のイリエワニがそこら中に。

  • もちろん皆さんご存知のシーラカンスの故郷、コモロ諸島の海にも調査へ。

3「世界を股にかけて」

水族園開園の2年前、1987年に展示生物の調査・収集のために「臨海水族園準備室」が上野動物園水族館内に設置されました。マグロや海藻、深海魚といったそれまで飼育が困難であった生物の飼育研究に取り組むと同時に、「世界の海」で展示する生物の調査・収集が始まりました。訪れた国は34ヶ国にのぼります。まさに、世界を股にかけての仕事です。現在もその業務は調査係に引き継がれています。

水族園の主な海外採集地点
水族園の主な海外採集地点