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Z o o E x p r e s s ■ ズー・エクスプレス ■ No.61 - May 24, 2002
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・都立動物園の最新情報をお届けするメールマガジン「ズー・エクスプレス」。
・サルとキツネ復活!
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N E W S
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■上野動物園■========================================================
▼インドライオンの三つ子が誕生!
5月3日、インドライオンの「チャンディ」が赤ちゃんを3頭産みました!
チャンディは、よこはま動物園(ズーラシア)からやってきたメスで、1996
年3月9日生まれの6歳。今年の3月9日、妊娠した状態で上野にきました。
ライオンの飼育を再開したのは11年ぶり(1991年5月以来)のことですが、
母子あわせてさっそく4頭となりました。
チャンディはズーラシアで2000年4月24日に初出産。このときも赤ちゃん
は3頭でした。いずれのケースも父親はズーラシアの「ヨハン」(1995年6
月30日生まれ、6歳)です。
出産を確認したのは5月3日の朝。産室から赤ちゃんライオンの声がして、
生まれたことがわかりました。いまは産室に設置したモニターカメラで観察
をつづけています。産室内は暗く、母子の状況はあまりわかりません。
子どもを産んだばかりのお母さんライオンは、しばらく子どもの面倒にか
かりっきりになります。親子で公開できるのは8月以降の予定です。それま
ではご覧になれませんので、ご了承ください。
・インドライオンについて
かつて上野動物園にいたのはアフリカライオンでした。インドライオンは
アジアに分布する唯一の亜種。アフリカライオンとはちがい、林でくらし、
単独で狩りをします。インドライオンは絶滅危惧種にもリストアップされて
おり、インドの森林保護区に数百頭が残るのみと報告されています。
・ズーラシア( http://www.city.yokohama.jp/me/ygf/zoorasia/ )内の
ヨハンとチャンディの写真↓
http://www.city.yokohama.jp/me/ygf/zoorasia/shiiku/j_lion2.html
■葛西臨海水族園■====================================================
▼アマモ場にすむキュートなイカ……ヒメイカ
先日、水族園の職員が「アマモ場」に出向き、生き物の調査・採集をしま
した。アマモは波のしずかな内湾の砂地に群生する海草のなかまで、アマモ
の群落を「アマモ場」と呼びます。
大潮の干潮時に訪れたアマモ場は、見わたすかぎり、遠くまでひろがる立
派なものでした。緑色の細長い葉が水面にたなびき、まるで陸上の草原のよ
うな、美しく豊かな景観です。
アマモのあいだを小さな魚が群れになって泳いでいます。手網をそっとひ
いてみると、じつにさまざまな生き物が入ります。とりわけ今回たくさん見
られたのが、ヒメイカという小さな小さなイカです。全長2センチにもみた
ないこのイカは、ちょうど産卵の季節をむかえていたのです。今回は、この
愛らしいヒメイカを紹介しましょう(調査のようすとヒメイカのすがたは、
http://www.tokyo-zoo.net/ からニュースのページをごらんください)。
ヒメイカを見るには、「東京の海」のエリアの2階にある「アマモ場の小
さな生き物」の水槽へどうぞ。「見つからない……」とあきらめないで、じ
っくりさがしてみてください。アマモの葉っぱの裏側が観察ポイントです。
葉裏にペタっとくっついたヒメイカがいませんか?
おもしろいことに、ヒメイカは葉っぱにくっつくことができるのです。そ
れを可能にしているのは、体の背中側(正確には外套膜の背側)にある、小
判のようなかたちをした粘着細胞であり、そこから分泌される粘液です。
アマモにくっついて休んでいる(?)ことの多いヒメイカですが、餌の時
間にはすこし活動的になります。生きたアミを水槽に入れると、すべてのヒ
メイカがヒョイヒョイと泳ぎだし、狙いをさだめてヒュッと腕を伸ばし、器
用にアミをつかまえます。ところが、すぐにまた「ペタッ」。アマモにくっ
ついて、ゆっくりと食事をします。なんとも便利なペタッですね。
ヒメイカにとって、アマモ場は敵から身を守ってくれる隠れ家であり、餌
の小さなプランクトンが集まる餌場でもあり、そして産卵の場所でもありま
す。アマモと深く関わってくらしているのです。ヒメイカの水槽には、他に
もヨウジウオやタツノオトシゴ、ツノモエビなど、アマモ場にくらす生き物
が展示されています。いずれもすばらしい隠れ技を持っていますので、じっ
くりさがしてみてください。 〔葛西臨海水族園調査係 天野未知〕
■井の頭自然文化園■==================================================
▼動物解説員によるガイドツアーが始まります!
上野動物園・多摩動物公園・葛西臨海水族園でもおこなっているガイドツ
アーが井の頭自然文化園でも6月からスタートします!
ガイドをつとめる動物解説員とともに園内を歩き、テーマにそって動物ウ
ォッチングを楽しみませんか?
「日本にすむ動物たち」「アジアゾウ“はな子”のくらし」「ニホンリス
ウォッチング」「カモのなかまと井の頭の水辺」「野鳥の森ウォッチング」
など、都市の中に残された自然を身近に感じながら、園内の動物を知るテー
マを予定しています。
実施日は、第1、第3、第5土曜日と第2、第4、第5日曜日。各日とも
「11時~11時45分」および「13時30分~14時15分」の2回おこないます。参
加は無料。申込も必要ありません。
集合場所とテーマについては、本園の正門、分園の表門・中門にある案内
看板をごらんください。
また、団体の方にもオリジナルのプログラムを実施しますので、事前にご
相談ください。夏休みなどのシーズンには、子ども、家族、おとな向けの特
別企画もおこなう予定です。
・お問い合わせ先 〒180-0005 東京都武蔵野市御殿山1-17-6
井の頭自然文化園 管理係もしくは動物解説員
電話 0422-46-1100
■TokyoZooShop■======================================================
▼新しいハンドパペットシリーズ──動物園版
今回ご紹介するニューアイテムは「ハンドパペットシリーズ」。これまで
販売してきた指人形シリーズを全面的にリニューアルしました。
裏地をつけたので手を入れたときの感触がやわらかくなり、同時に、価格
もぐっとお安くなりました。しかも! かつての人気者サルとキツネが復活。
上野動物園と多摩動物公園では、パンダ、ウサギ、コアラ、ゾウ、ライオ
ン、クマ、キツネ、サル、リス、レッサーパンダの10種類を販売しています。
いずれも1500円(税別)。
水族園版も追ってご案内します。
写真は http://www.tokyo-zoo.net/shop/ から「ショップニュース」をご
らんください。
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●シカよけに猛獣のふん──新防除剤の開発
徳島県では、ニホンジカやカモシカによって植林の苗木が食べられてしまう
被害をふせぐために、トラやライオンのふんを利用する研究がすすんでいます。
徳島県森林林業研究所によれば、スギとヒノキの苗木に対し「なにもしない」
「ふんを溶かした液体を染みこませた縄で囲む」「ふんの液体に苗木をひたし
てから植える」という条件を設定したところ、なにもしない場合は約1週間後
に食われ始めましたが、縄で囲った区画は約1カ月間、苗木をひたした区画は
約半年間、被害がありませんでした。今後、シカがにおいに慣れてしまわない
かどうか、調査をつづけます。
ふんは、トラとライオンを飼育している「とくしま動物園」が提供。
・とくしま動物園
http://www.city.tokushima.tokushima.jp/guide/zoo/zoo.html
●骨折したキリンの義足手術──秋田市大森山動物園
3月24日、秋田市の大森山動物園でキリンの赤ちゃん「たいよう」(オス、
2001年8月19日生まれ)が右前足の中指骨を骨折。運動場を走り回っていると
きにシマウマと接触したのが原因のようです。緊急手術をほどこし、ギプスを
とりつけましたが、3週間後の検査で患部が壊死(えし)していることが判明。
全身に菌がまわる恐れもあり、5月14日、約40センチを切断しました。
そして、国内では初めてのこころみとして、「義足」を装着しました。直径
約10センチの青竹と長靴で義足をつくり、包帯とゴムバンドで固定。現在、食
欲を回復し、脚のはれも徐々にひいていますが、義足の装着のぐあいがよくな
いそうです。
・「秋田魁新報社」 http://www.sakigake.co.jp/ のニュースページから3編
(URLに改行が入っている場合は、1行につなげてください)
(↓3月26日、「たいよう」骨折し重傷)
http://www.sakigake.co.jp/servlet/SKNEWS.kijiSrch.kiji?Page=top&PKijicode=20020326a&PRange=all&PText1=%C2%E7%BF%B9%BB%B3&PText2=&PText3=&PText4=
(↓5月15日、右前足を義足手術)
http://www.sakigake.co.jp/servlet/SKNEWS.kijiSrch.kiji?Page=top&PKijicode=20020515c&PRange=all&PText1=%C2%E7%BF%B9%BB%B3&PText2=&PText3=&PText4=
(↓5月23日、「たいよう」に励ましの声)
http://www.sakigake.co.jp/servlet/SKNEWS.kijiSrch.kiji?Page=top&PKijicode=20020523l&PRange=all&PText1=%C2%E7%BF%B9%BB%B3&PText2=&PText3=&PText4=
●ワニ、顔に獲物感知センサー
暗闇の中にあっても、ワニはたった一粒の水滴の落下を感知して獲物に飛び
かかります。そのセンサーが、顔に分布する突起であることをアメリカの大学
院生ダフニ・ソアレスさんが発見し、英科学誌「ネイチャー」5月16日号に発
表しました。
鳥類の行動学を専門とするソアレスさんは、たまたま目にしたワニの顔面に
小さなイボ上の突起がたくさんあるのに気づき、専門家による解明がすすんで
いないことを知って、実験観察をおこないました。
ワニは完全に水中に沈んだり、顔が完全に水の外にあったりすると、水滴が
落ちても反応を見せません。そこで、突起を覆ったところ、やはり水滴を感知
しなくなりました。行動神経学的な実験・解析の結果、ワニの口のまわりにあ
る小さな突起が、水圧のわずかな変化をキャッチして、獲物の存在を感じ取る
ことがあきらかになりました。
・暗闇で赤外線撮影したワニの動画(ソアレスさんのサイト)
http://www.wam.umd.edu/~daph/DPR.htm
(動画 http://www.wam.umd.edu/~daph/normalgator.mov を見ると、
ワニが水滴に向かってとびかかるようすがよくわかります)
・米放送局NPRのサイトより「ワニの骨格標本を持つソアレスさん」
http://www.npr.org/programs/atc/features/2002/may/gators/
「東京ズーネット」の「どうぶつ図鑑」より
・ミシシッピワニ
http://www.tokyo-zoo.net/encyclopedia/species_detail?code=218
・イリエワニ
http://www.tokyo-zoo.net/encyclopedia/species_detail?code=175
・ニシアフリカコビトワニ
http://www.tokyo-zoo.net/encyclopedia/species_detail?code=201
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▽本文中に示したリンクによって表示されるページには、他のページへの移動
リンクが含まれていない場合があります。とくに東京ズーネットの「どうぶ
つ図鑑」のばあい、完全なかたちで表示するためには、図鑑のトップページ
http://www.tokyo-zoo.net/search/ から検索してください。
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▽編集後記
上野動物園の両生爬虫類館にもミシシッピワニをはじめ、イリエワニ、ニ
シアフリカコビトワニなどがいます。ダフニ・ソアレスさんが研究したのは
ミシシッピワニのようです。さっそくミシシッピワニを見にいきましたが、
遠くにいたので、はっきりとは確認できませんでした。イリエワニは「科」
がちがいますが、突起らしきものが見えます。 (大平)
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メールマガジン ZooExpress No.61 - 2002年05月24日
財団法人 東京動物園協会
110-0007 台東区上野公園9-83 上野動物園内
電話 03-3828-8235 FAX 03-3828-8237
e-mail: webmaster@tokyo-zoo.net
URL : http://www.tokyo-zoo.net/ 東京ズーネット
(c)2001 Tokyo Zoological Park Society
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